役所が行った法令に基づく行為のうち、「処分」とされるものについて、その結果に対して不服がある場合(申請が却下された場合など)、申請等に対していつまでも判断してくれない場合などについて、行政庁に対して改めて審査し直してほしい、早く審査してほしいなどの請求を行うことができます。他方、裁判所に対して訴訟を起こすこともできます。
この、行政庁に対して審査してほしい、というのが行政不服審査請求です。行政不服審査法という法律で規定されています。特定行政書士は、行政書士が関わった案件についての行政不服審査請求の代理を行うことができます。
但し、役所が行った行為がすべて行政不服審査請求の対象となるわけではありません。
「処分」と書きましたが、役所が行った行為で、公権力性があり、国民の法的地位を直接・具体的に変動させるもの、という定義があります。法的な効果を伴わない指導、斡旋、勧告は含まれません。また、補助金・助成金などでは、その要綱に「処分」ではない旨の記載があることが少なくなく、その場合には不支給に対する審査請求はできません。
更に、行政不服審査法で除外されているものもあります。例えば、刑事事件や在留許可申請にかかるものは適用除外されています。
なお、申請を却下する場合の役所からの通知で、「この処分に不服がある場合には、3ヶ月以内に××に審査請求をすることができる。」と記載されている場合には、審査請求ができるということです。
また、請求できる期間は処分の通知を受けたときから3ヶ月以内です。これを過ぎるとできなくなります。
制度があるから何でもそれを使えばいい、ということではありません。行政不服審査は時間がかかります。場合によって1年近く審査結果が出ない場合もあります。より早く解決できる方法があるならばそちらの方法をとるべきです。例えば、却下の理由が記載されていれば、もし、それをクリアできるならば条件を整えて再申請した方が遙かに簡単に済みます。ほかの方法も考えてみる必要があるのです。
また、審査はあくまで行政庁がやりますので、信用できない、ということであれば訴訟の方がいいかもしれません。但し、行政不服審査請求は審査料はかかりませんが、訴訟では訴訟費用がかかります。
このように、何が一番よい方法かを考える必要があります。
処分の結果が不満だ、というだけで審査請求しても認めてもらえません。行政の判断が間違っているので直してほしい、そうしてこちらの申請を認めてほしい、という理由を文書にする必要があります。
この、理由をしっかり記載して相手を説得することが重要です。これに対して処分を行った役所から「弁明書」という処分内容の正当性を主張する文書が出てきますので、これに対する「反論書」も作成していきます。また、「口頭意見陳述」という、直接意見を言う場を求めることもできます。ただし、裁判と違い、それぞれ一発勝負になりますので、しっかり準備しなければなりません。
最初の「審査請求書」にいかに主張を書いていくのかが大きな比重を占めることになります。そのためには、3ヶ月というのは極めて短い期間ですのでできるだけ早く作業を始めなければなりません。
以上のように限られた時間内に適切な文書を作成する必要がありますので、早めにご相談下さい。
改めて、そのほかの方法を含めて検討させていただきます。